それから、俺達は、食事に入った。
わいわいと賑やかな雰囲気の中で、色々な話をした。



















この寮には、生徒会メンバーが勢ぞろいしている事。
ちなみに、会長が雨宮先輩、副会長が雅先輩、書記が夏川先輩、そして、
……会計が郁斗先輩、との事だった。
一番最後が意外だったというのは、ここだけの話にしておいてほしい。
他にも、夏川先輩は、美術の才能に長けていて、造形から絵画から彫刻まで、
幅広くこなしているのだとか。
学校長の許可を受けて、短期間とはいえ、写生の修業という事で、
遠征に出かける事もあるそうだ。
そして、時々コンクールなどにも出展するほどの腕前らしい。
今度、作品を見てみたいと思った。
そして、料理も、「僕は、人並み程度だと思うんだけどね。」と苦笑していたが、
人並み程度であの料理は作れないと、心の中でしみじみと思った。
あと、凪は、スポーツに関しては、小柄だが、他に引けを取らないほどの実力で、
様々な、ありとあらゆる運動部をかけもちしていて、毎日、違う部活を回っては、
トレーニングに励んでいるらしい。
雅先輩は、あまり話さなかったが、時々毒を吐いては、その度に、俺の気を惹いた。
郁斗先輩は、俺が微笑みかけると、あからさまに嫌そうな表情をしていた。
そりゃ、こんな小柄で非力そうな奴に失神させられて、しかも、気付いた時には、
俺の部屋で介抱されていたんだからな。
そして、雨宮先輩は、相変わらず謎が多い。
黙々と食事を食べ、それが終わると、どこから取り出したのか、本を読んでいた。
時々、会話に入ってきて相槌を打ったりする事もあったが、それ以外は、
視線を本へと落としていた。
纏う雰囲気も、どこか謎めいていて、この人はこの人で、とても強く、
俺の気を惹くものがあった。