Secret Prince

「良いよー、その角度。
 うーん、ちょっと首を傾げて、カメラに向かって、
 上目遣いをくれないかい?
 ・・・・・・・うん、そうそう、良いねー。」



カメラマンの人が、さっきからずっと撮影しっ放しだ。
俺は、彼の指示に従っていた。
勿論、ただ従うだけじゃない。
ここでの俺は、学校にいる時の俺ではなく、
かといって、Appleとして働く時の俺でもなく、
また別の姿をしている。



















俺は、演技をするのが好きだ。
自分じゃない何かになりきるようで、かといって、
そういうわけでもない。
自己の内面に潜むものを垣間見れるような気がするから、
今まで知らなかった事が分かったような、スッキリとした感じが
あるから。
歌も、そうだ。
その曲の中に入り込んで、感情を表現する。
はっきり言って、俺が歌詞を作る場合じゃない時は、
あまり簡単とは言えないけど、それでも楽しいから、
今まで続けられてきた。
そして、これからも続けていく。
縛られるのは嫌いだけど、この仕事は嫌いじゃない。



































「はーい、それじゃあ、本日の撮影は、これでお開きにします。
 お疲れ様でしたー。」



その声に、ハッと我に帰った。
物思いに耽っていたような気がするけど、
大丈夫だったのかな。