「あれ……?
 君は、どちら様かな……?」


その声の主を見ると、戸惑ったような表情を浮かべられた。
……そうか、この人は、俺の事知らないんだよな。


























「僕は、今日からこの寮に入る事になった、栗代藍斗といいます。
 どうぞよろしくお願いしますね。」


持ち前の営業スマイルと、丁寧なおじぎ。
不審者だと思われたりしたら、たまらないからな。
相手の反応を見た限りでは、それはなさそうだけど。
第一印象は、何だかんだで大事だし。











「僕は、夏川優(Yuu Natsukawa)。
 あー、他の子達と会ったのかは分からないけど、廉や雅と同じ3年ね。
 一応、この寮の料理係だよ。
 今日は、新しい仲間も増えた事だし、特別サービスするね。」


優しげな表情を浮かべながら、最後の方は、茶目っ気たっぷりに、
笑いながら言ってくれた。
雅先輩が美しい人なら、夏川先輩は、……儚い人、だな。