その後、雅先輩は、軽い口調で、しかしながら、背後に黒い何かを纏わせながら、
そして、般若も真っ青になるような笑みを浮かべながら言っていた。




「あの針にはね、ちょっとした麻痺作用もあるんだ。
 言って起きない奴には、軽く、釘を差しとけば良いんだよ。
 本当、もう少し、物分かりが良ければ良いのに、ね?
 あ、それじゃ、僕は、一旦部屋に戻ってから、そっちに行くね。」




やっぱ、あんた、……悪魔じゃね?
そんな事を考えていたら、横に並んでいた先輩のオーラがより一層険しくなった、
……ような気がしたから、俺は、とりあえず、逃げるように台所に向かった。

































トントントントントントン。
軽快に響く、包丁の音。
扉を開けた瞬間に、ふわっと流れ込んでくる、食欲をそそる良い匂い。
この寮には、料理人でもいるのか!?
先刻の疑問が、再び脳裏をよぎった。