「何か、藍斗、疲れてるみたいだったから、
 美味しいミルクティー淹れてみた。
 これ、結構、自信あるんだよね。」




そう言って、茶目っ気たっぷりに微笑む夏川先輩は、
やっぱ、綺麗な人だと思う。
何だろう、純粋な綺麗さっていうのかな。
妖絶さとかなしに、・・・・・逆に、俺からしたら、
綺麗すぎて、神聖だとも思える。





























「ありがとうございます。
 凄く、・・・・・・・・・美味しいです。
 ふふ、やっぱり、夏川先輩って、・・・・・・・・
 優しい人ですね。」




本当に、正直な気持ち。
案外、俺ってば、優しさに飢えてるのかも
しれない。
後輩に泣かされるとか、どんだけだよとか思ったけど、
でも、おかげで、何だかスッキリしたのも確かだ。
今まで仕事にかかりっきりで、正直言って、
自分の心の中なんて顧みたりしなかったけど、
案外、色々と足りないものがあるのかもしれない。
でも、仕事をする上では、それは切り捨てるべきものだとも
思う。
だから、分からない。

























「あはは、そんなに褒めてくれても、
 僕は、料理しか作れないよ。
 ふふ、今日の朝は、ポテトのミルフィーユだよ。
 初めて作ってみたんだけど、どうかなぁ。」




そんな俺の思いとは裏腹に、相変わらず、夏川先輩は、
バックに花が咲いたようにふわふわとしている。
そのギャップに、思わず吹き出しそうになったけど、
どこか、心の奥では、この幸せが続けば良いなんて、
そんな事も思っていた。