Secret Prince

だから、要するに、上手く誘惑してやれば、
かなり便利な薬で、実は俺も、寮の自分の部屋に
何個か備えていたりする。
まぁ、飲ませれば一番効き目が高いが、そうすると、
使う側もリスクがあるって事で、匂いを嗅がせるだけでも
十分効くようになっている。






















そうしている間に、悠の手によって両目を塞がれた雅先輩が、
悠と共に、こちらへ歩いてくるのが見えた。
何て言ったのか分からないが、やけに、雅先輩が素直なように
思えた。





























俺は、雅先輩の目の前に進み出ると、悠に合図を送る。




「ゴメンね、雅先輩。
 名も知らぬ後輩に、こんな事されて、さぞかし不愉快だったとは
 思うけど。
 一応、弁解しておくけど、僕に悪気はないよ。
 さ、目を開けてごらん?」



そう言って、悠は、目を塞いでいた両手を離した。