インターホンに出たのは、現役歌手でさえもビックリの美声の持ち主だった。
俺の仕事に関する事は、また後から話すとして、
……へぇ、なかなか良い声してんじゃん。
こんな声で迫られたら、男女構わず堕ちるだろうな。
そんな事を考えてみたものの、俺にとっては、例の者以外には興味が湧かず、
すぐに平静を装うと、返事をした。



























「今日この学園に編入する事になっている、栗代藍斗(Aito Kurishiro)といいます。
 今、校門前にいるのですが……。」









ほんの少し、おどおどしたように言ってみる。
こんな風に言えば、相手に、「あぁ、緊張してるんだな。」と思わせられる。
相手を油断させるための、ちょっとした小細工だ。
これが、意外と効果あったりするんだけどね。
さて、どう反応するかな?
俺は、自分でも、つくづく性格の悪い奴だと思う。
いや、……正確に言うと、捻くれてる、の間違いか。