Secret Prince

「さてと、もうそろそろ、お別れの時間だ。」




「何で、・・・・・・・もっと、一緒にいたい・・・・。」




「僕の世界はね、時間の流れが数十倍遅いんだよ。
 だから、ここで10分しかいなかったとしても、
 藍斗の方では、2時間ぐらい経ってるかもしれない。
 ふふ、そろそろ、・・・・・・・悠に起こされちゃうね。」




「そっか。
 それなら、俺は、もう行くわ。
 俺のために、そこまで尽くしてくれて、
 ・・・・・・・・・・・ありがとう・・・・・っ!」






























今の今まで俺を抱きしめていた温もりが、ふうっと消えて
いった。
まるで、夢みたいな奴。
掴み所がなくて、いつの間にか消えちゃってたりするし。
でも、どうしようもないくらい優しくて、俺の事を
考えてくれてる。
俺は、未だ小雨の降り続くラベンダーの園で、
ビオラの涙のような、悲しくて切なくて、でも優しい雨に
打たれていた。