俺が何も言えずに黙っていると、悠は、
更に続けた。

















「元々、総統は心の広い人だが、それでも、
 実力主義っていう心意気は失っていない。
 仕事の時は、かなり冷めてるし、はっきり言って、
 俺達子供には優しく接してくれるけど、大人に対しては、
 何か嫌な過去でもあったのかは知らないが、正直、
 完全な実力主義だよ。
 まぁ、スネークは気に入られてるけどな。
 気に入られても、それを盾にしたり、驕ったりはしないから、
 そこは、人間の器があると、俺は思う。
 だが、本当、笑みを貼り付けたような人だから、
 内心は、何を考えてるのか、全く掴めない。
 気に入られたら入られたで不気味そうだけど、
 見限られたら終わりだろうな。
 まぁ、冷酷な殺人者とかじゃないから、そんな簡単に
 人間を切り捨てたりはしないけどな。
 ま、人を見る目が優れてるから、『観測者』、
 ウォッチャーって呼ばれてるんだよ。
 普通にしてれば大丈夫だから、そんな怖気づくな。」






そう言いながら、俺のおでこを軽く小突いた。
自嘲的な表情を浮かべられて、ドキッとさせられた。
かと思えば、最後の方は、俺を安心させるように、
柔らかく微笑んできて。
何で、こいつは、こんなにも俺を翻弄するんだ。