Secret Prince

「はぁ、……今日、ここに入寮してきた者で、栗代藍斗といいます。」




ね、ここは、自己紹介とかしつつ、穏便に事を済ませたいよね。
絶対関わったら、何かしらのフラグが立ちそうだもん。
すると、予想外の返事が返ってきた。
いや、予想外と言ったら失礼だな。





























「俺は早川郁斗(Ikuto Hayakawa)だ。
 3年だから、先輩になるのかな。
 ……ところで、ちょっと聞きたい事あんだけど。」





……見た目で決めつけるのは良くないけど、もしかして、悪い奴じゃないのかな?
その顔とは裏腹に、拍子抜けしてしまうほど穏やかな声色をしていた。





















「こちらこそ、よろしくお願いします。
 それで、……聞きたい事というのは?」


相手が相手なら、自分もそれに合わせなければならない。
物腰柔らかな相手になら、それ相応に接するべきだと思った俺は、
ガラリと態度を切り替えた。
が、それが間違いだったと気付くのは、数十秒後の事。





















「もしかしなくとも、冷蔵庫の中のアレ、飲んだよな?」



「…………はい。」






ここは、正直に白状するのが賢明だろう。
無駄に、面倒事を起こしたくはないし。








「あと、何で、……猫被ってんの?」



「…………。」






それは、追求しなくても良い問題だ。
だから、答える必要もない。
黙秘権を行使して、何が悪い?