その子の名前は、ビオラ。
藍斗よりも、弱々しそうな印象だった。
でも、話している事は、相当強烈で・・・・・。



































藍斗が、3歳の時に、親に売られた事。
売られた先では、一人の人間としてではなく、
玩具として、性道具として、扱われていた事。
毎日毎日、その子の相手をさせられ、心身ともに、
日に日に、藍斗が『限界』に近づいていった事。
時々、藍斗が意識を失った時に、代わりに出て行って、
その子の相手をしてあげていた事。
藍斗は、少しずつ表情をなくしていったが、それでも、
時々、自由な時に泣きじゃくっていた事。
あと、藍斗は、ビオラという別の人格が、自分の中に
眠っている事に、まだ、気付いてはいないという事も。
そして、なるべく、無理はさせないでほしい、と
忠告された。
それに頷いたら、ビオラにしては珍しく、本当に、
心の底からの微笑みを見せてくれた。
それだけで、俺は、ビオラは、藍斗の事を大切に思って
いるんだっていうのが十二分に分かった。






































だから、俺は、藍斗の事を大事にしようと思った。
少しでも、藍斗と仲良くなりたい。
たくさん、温もりを与えてやりたい。
愛情で一杯にしてやりたい。
抱きしめて、もう、藍斗が寂しいと、怖いと、辛いと、
思わせないように。
心の傷を、いつかは、見えなくなるぐらいまで、
癒してやりたい。