「まぁ、そうなんだけど、今の所は、まだ、無理には
 しないでやってね?
 これでも、一応、僕と藍斗は、心も躯も、切り離せない
 関係なんだから。
 藍斗は、まだ、僕の存在に気付いていないんだろうけど、
 でも、いつか、分かってくれる日が来る。
 それに、悠は知らないだろうけど、僕は、藍斗の瞳や、
 鼻や、唇や、身体全体を通じて、藍斗の苦しみの、・・・・・・
 ほんの一部を感じ続けていた。
 時々、藍斗の心や躯が限界に達した時には、僕が代わりに
 出て、相手してあげてたんだけどね、・・・その罪な子の。」




僕は、淡々と話し続ける。





































きっと、いつか、藍斗が僕の事を、認め、分かってくれる
日が来るだろうから。
それに、あの家を脱走したのは藍斗の意思で、ここで生きて
いく事に決めたのも、また、藍斗の意思なんだから。
もう1人の僕は、コインの表裏のように、切り離せないけど、
たった1人でもある僕は、一生、藍斗と一緒だ。
生まれる前から一緒だったのか、生まれてから一緒になったのか、
そんな事は分からない、覚えていない。
でも、僕は、僕の意思で、藍斗と共に生きていこうと決めた。
そもそも、二重人格やら、人格分離やら、そんな事が出来るとも
思わないけど、でも、・・・・・・もう、藍斗の中で、
藍斗と共に生きる事に、異論はないから。