「俺は、表の顔は、栗代藍斗っていう名前の一介の高校生だが、
 もう1つの人格として、さっき、本人が名乗っていた、
 ビオラっていうのがいるんだ。
 ここまでは、分かるな?」



確かめるように問いかけると、凪は、コクン、と頷いた。
それを確認して、俺は続ける。



































「んで、俺はな、何ていうか、……そうだな、昔から、
 愛情とかいう代物とは、無縁の存在だったんだ。
 触れられる事も、話しかけてくれる事も、一切なかった。
 向けられるのは、好奇と嫉妬と、羨望と、怒り。
 な?
 愛なんてもの、この中に存在しねえだろう?」



諭すように語りかけると、凪は、特に反応を返さず、
無心で聴いているようだった。
俺は、それでもいいか、と思い、話を続けた。