だが、基本的には、第3寮のメンバーは、
友好的、かつ、自由人であるために、その行為を止める事はしなかった。
いや、正確には、出来なかった、というのが正しい。


























何故か、彼の傍に居ると、刃向かおう、という気が湧いてこない。
それが何故かなんて、分かるはずもない。
考える事すら億劫になる、そんな虚無感。
クールに、冷静に、そんな雰囲気を纏うのが、雨宮廉だ。
考えさえしなければ、毎日を楽しく過ごせる。
面白く、楽しく、時には、生徒会メンバーが勢揃いしているだけあって、真面目に、
平穏な日常を過ごしていられる。

































聡明さと、美しさと、残酷さと、謎めいた雰囲気と、
そして、まだ、何かを隠し持っているような、
そんな疑いさえ抱きたくなる、雨宮先輩に、
彼らは戦慄しつつも、密やかに、それぞれの胸の内で、
藍斗の身を案じたのだった。








































その後は、藍斗が戻ってきて、和やかな空気へと変わり、
誰からともなく藍斗に話しかけ、笑顔になり、拗ねたり、
どこにでもありそうな日常を繰り広げる。
だが、日常は、ほんの些細なきっかけで、すぐに、
非日常へと移り変わる事もある。
それぞれの思いが交錯する中、長い一日は、ようやく更けていこうとするのだった。