雨宮先輩は、1年で早々に生徒会長になり、様々な功績を残してきた。
まぁ、裏では色々とやっているらしい、という噂も、絶えず飛んでいたが、
いつしか、そんなものは、跡形もなく消え去り、
今では、嫉妬する者が、逆に、親衛隊を作るほどの心酔ぶりを見せている。
熱狂的な狂信者を、雨宮先輩は、宥めるでもなく、煽るでもなく、
そんな中間的な態度が、より一層、彼を神聖化する根拠となっていった。



























そして、彼は、同時に、酷く気まぐれな人間でもあった。
並外れた頭脳、観察力を持つ彼は、時に、気まぐれで、
喧嘩を売り買いしていた。
文武両道な生徒会長の手法が、具体的にどんなものなのかは、
一切、明るみになっていない。
気まぐれであると同時に、類稀な聡明さで、
徹底的な口封じも行っているらしい。

































これは、全てが噂の話で、真実がどうかなんて事は分からない。
だが、第3寮で彼と共に過ごしている者は、少なからず、
彼には裏の顔がある、という事を確信している。
それぞれが、それぞれの立場から、
雨宮廉という人間を、観察対象として見守っているのだ。