「まぁ、見ての通り、ここは台所。
 で、そこの扉を開けた先にあるのが脱衣所で、その扉を開けた所が、浴場だよ。
 檜風呂なんだけど、きっと気に入ってもらえると思うよ。
 そして、二階が寮生の部屋ね。
 あんまり広い寮じゃないから、説明はこれぐらいかな。
 あ、部屋の前に、番号書いてるから、……栗代君は、507号室だよ。」






大まかな説明を終えると、彼は、軽く、ふぅと息をついた。
その間、俺は、ずっと雨宮先輩について歩いていた。

























「説明の方、ありがとうございました。
 あとは、自分で見て回ろうと思います。」




俺は、説明にはお礼を言いつつも、内心は穏やかではなかった。
まぁ、例によって貼り付けたような微笑みで答える。
変装した偽りの顔とはいえ、愛想笑いというのには慣れているから。