「……なぁ、そこのエセ策士さんよ。」


俺は、俯いたままの椿に声をかけた。
挑発的な口調に、奴は、思わず顔を上げた。
……ふ、上等だ。
来るなら、誰かにさせるんじゃなくて、自分から仕掛けて来い。
わざわざ、弱いのをぞろぞろと、馬鹿の一つ覚えみたいに引き連れてんじゃねえよ。
虫酸が走るんだよ、そういう奴を見ていると、な。




















「仕方ねえから、もう1回だけチャンスをやるよ。
 ……お前、さっき、俺に言ったよな?
 俺に、この学園の愚純な掟とやらを教えてくれるんだよな?
 しかも、お前直々に。
 なぁ、……俺を、完膚無きまでにヤってみせろよ?
 俺が堕ちたらお前の勝ち、俺が逆に堕とし返せたら俺の勝ち、……どうだ?」


そう、これは、ある種のゲーム。
ちなみに、俺は、今まで負けた事はない。
どんなに屈強な男でも、どんなに芯の強そうな男でも、確実に堕ちてくる。
俺は、決まって先手を譲る事にしているが、それでも、相手は勝てない。
ちなみに、俺のやり方だが、最初は乱暴に、徐々に甘く、相手を手繰り寄せる。
自分の手のうちに堕ちたら、懐柔した後、切り捨てる。