とりあえず、俺は、襲いかかってくる男共を蹴り倒し、殴り飛ばし、
そこそこ強そうな奴は、関節を一撃で切断して、気絶させ、片っ端から薙ぎ払った。
回し蹴りや、腹に膝蹴りを加えたり、顎を狙って殴ったり、
手刀を喰らわせたり、まぁ、久しぶりの喧嘩の機会という事もあり、
やりたい放題に舞ってやった。


















俺の舞は、静かで厳かで、それでいて幻想的で、美しい。
風を切るように鋭く、しかし、焦らすように巧みに翻弄し、
時には、相手を自滅に追い込む事もある。
正確無比な攻撃の中に見え隠れする、駆け引きの色。
それは、さながら、夜の闇を淡く照らし出す月のように映える事もあれば、
日中に見られる新月のように、微かに浮かび上がる程度の時もある。
相手によって、巧みにそのスタイルを変貌させる。
俺は、戦闘においては、Appleではこう呼ばれている。
幻のように、掴み取れない一輪の花、……幻花、と。





















それにしても、……こんな厳つい顔をしているのに、何で、こんな弱いかな……。
正直、興醒めなんだが、……どうしてくれるのかな……。
君は、どう責任を取ってくれるのかな……?