Secret Prince

~悠里side~


あんな問題、……きっと見た事もない、はず。
これは、たぶん、春日先生の意地悪なんだろうなぁ。
たまに、あの先生は、絶対僕達が解けないような、
高2の数学では間違ってもやらないような問題を出してくる時があって、
……獲物にされた子が、毎回とても可哀想な事になっちゃうんだよ。
藍斗、大丈夫なのかなぁ。
何か、……ずっと見ていたわけじゃないけど、
教科書すら読まずに、爆睡決め込んでいたから、
……絶対分からないよ、アレは。
僕だって、第3寮にいるから、それなりに賢い方ではあるんだけど、
……今回のは、流石に分かんないかも……。















心配だった僕は、藍斗の方をじっと見つめていた。
そんな張本人は、一瞬だけ、僕の方を見て、こんな風に口パクで言ったような気がする。


「大丈夫だから、心配すんな。
 アイツの鼻っ柱へし折ってきてやるからさ。」


無邪気な色声だったけど、……般若も真っ青になるくらいの、どす黒いオーラが、
藍斗の背後に漂っていたような気がするのは、僕の気のせい、……だよね、うん。


























藍斗は、つかつかと教壇に歩み寄って、黒板に、何の躊躇いもなく答えだけを書くと、
何か、……先生の足を軽く踏みつけていた。
きっと、表情は見えなかったけど、……笑ってたんだろうな。



「これで、文句でもあんのか?」



その一言が、教室の空気を凍らせたのは言うまでもないよね。