夜は夜で、弥生に電話をする…

「どうして?どうしてなの?」

「…解ったんだよ、弥生、俺達は結婚するべきじゃない」

「何で?納得出来ないわ?私達、3年も付き合ってきたのよ?」

「3年付き合ってきての結果だよ。」

「何よ…別れないわよ。ちゃんと会ってよ!」

「会っても同じことしか言えないよ…」

「いや、絶対に別れない!」

弥生はこんな人間だっただろうか…

俺は遠くでそんな事を考えていた

「…他に好きな人が出来たんだ…」

「え…?」

「もう…その人の事しか考えられない…」

「うそ…仕事って言って、騙していたの?」

「いや、仕事だったんだ…最初は…
でも彼女と会っているうちに惹かれてしまった…」

魔法にかかったように…

「…全、ひどいわ…」

弥生のすすり泣く声を受話器越しで感じて、申し訳ない気持ちになった

「ごめん、本当に申し訳ない…」

でも知らなかったんだ…

こんなに誰かを想って渇くということを

彼女によって潤されるということを

幸せなんだ…

彼女といることが






しかし、俺は緩やかに事件へと進んでいた………