「そんなの、都合よすぎるじゃない!全、仕事、仕事って、私の事も考えてよ!!」

そう言われた瞬間、俺の中で何かが弾けた…

頭では解っているんだ

しばらく弥生を放置していたこと

弥生が寂しがるのも当然なんだ

当たり前だ。仕事仕事といって、俺は椿とばかりいる

後ろめたい事ばかりだ

行動も、気持ちも…

でも……



「弥生!ワガママばかり言うな!
そんな事ばかり言われるなら、俺だって君と結婚するのはごめんだよ!仕事をして帰る度に『私と仕事、どっちが大事』かなんて聞かれたくない!」

気がついたら、俺は反対方向に歩き出していた

「全、ちょっ…」

弥生に腕を掴まれたが、俺はその手を振り払い歩き続ける

「全!全!!」

弥生の呼ぶ声に応えることなく、俺は早足で立ち去った



行きたいところはただ一つ…



心に正直に、足は進んでいった…