その日から、先生はたまに私を見つけると話しかけてくるようになった。

最初は避けるようにしていた私も、いつも笑いかけてくれる先生に、

嫌な気がするはずもなくて、いつしか心をひらくようにもなっていった。

目の前に現れた先生ひとりのおかげで、

生きていることまで、なんとなく楽しくもなっていくような、

ずっと私の世界を覆っていた灰色の霧がすーっと晴れて、

その間から、眩しい太陽の光が差し込んでくるような、

そんな感じだった。

そうして同時に、先生は軽そうなんかじゃなくて、

本当はとても私を気づかってくれる、

やさしい人だということもわかってきた。