おじいちゃんが猛スピードでやってきた、顔が怖いよ(泣)。
しかも既に柔道着に着替えてるし。

「貴様また抜け駆けするきかっ!!女とて容赦はせんぞっ!!」

「だまれ厳(げん)っ!!今週は薙刀と決まってる!」

「決まって無いわっ!!(怒)」

お、おじいちゃん。
坊主の頭に血管が浮き出てるよ、怖いよ怖いよ(泣)。

そうするとイキナリおばあちゃんはどこからとも無く薙刀を出してきた。
刃先が反射する、なんか今背筋がゾォーってなった。

「ちょ、二人とも!ストップストップ!!とりあえず、先にご飯!」

そう言ったものの・・・未だに二人は睨み合っている。

「私、着替えてくるから。先に食べてて」

「だれがこんな奴と一緒に飯なんぞ食うかっ」

「こっちこそごめんこうむるわっ」

「あーもぉ〜・・・」

とにかく私は階段を上がって部屋に戻った。
ていうかなんであんな相性が悪いんだろう、でも『ケンカするほど仲がいい』っつーし。
・・・いやいやいやいや。

二人にそんなこと言ったら絶対におばあちゃんとおじいちゃん戦闘態勢にはいるって。


ガチャ


うちの家族はおばあちゃんとおじいちゃんとお母さんしかいない。

お父さんは私が7歳の頃、病気で亡くなったらしい。
かといってお母さんは、ここだけの話、女優でいつも海外だからいないも同然。

で、お母さんのおばあちゃん、ヒサノさん。
お父さんのおじいちゃん、厳さん。

二人は私がまだちいちゃい時に預かってくれていて、今もお世話になっている。

私は今の『佐藤学園』に入るため昔からずっと薙刀と柔道をやってきた。
どこかの分野で『秀才』と呼ばれない限り、あそこには入る確率は低いからだ。

でも・・・いつも大変なのが、二人とも私と稽古がしたいからどっちが先にやるかでケンカになる。

なんであぁ仲が悪いんだか。
私はクローゼットから柔道着を取り出した。

「それと、服は・・・これでいっか」

めんどくさいし、ワンピースにした。


コンコン


「今着替えてるー」

ドア越しでおじいちゃんの声が聞こえた。
なんだか嬉しそう。

『今日は柔道だからのー』

「あ、分かったー」