翌朝、私は自分のベッドにいた。
隣にはタクがいた。能天気に寝息をたてて。

なぁんだ、夢だったんだ。

辛すぎる夢を思いだして、私は身震いする。

窓の外に落ちる雪をみて、現実を感じた。
ここは日常。いつもの世界。
タクは確かにここにいて、
私の横で、子供のような顔をして眠っている。

恐かったよ、タク。

私は、もう一度布団にもぐりこんで、
タクにしがみつく。鼓動を感じる。

大丈夫。

そのまま眠ってしまおうかと思った。

眠ってしまいたかった。何もわからないうちに。

でも私は見てしまった。
私が編んだセーターに、うすく記された花の模様。
血と涙の結晶。

タク……。

動けなかった。
自分の体が自分のものでなくなったように。

夢じゃなかったんだ。