タクが着ているセーターを、
子供のようにつかんで放さない手。

私の手。

真っ赤に腫れていた。赤切れができていた。

血がにじんでいて、
ぽとぽとと落ちてくる涙の中でうすく赤が広がって、
白いセーターの中にきえてゆく。

それはまるで小さな花のような模様を、そこに記していた。

涙がつくった血の模様。

タクの涙の花模様。

タクの胸の中で、私はそのまま目をとじた。