タク。

悲しみとも、怒りとも、切なさとも違う、
もっと大きくて、重い感情のかたまりが、
どうしようもなく私の中で膨れ上がって、一気に爆発して、
私は、立っていられなくなった。

「大丈夫だよ、アヤは」

大丈夫なんかじゃないよ。タク。

私はちっとも大丈夫じゃない。

タクの腕の中で私は、石のようにかたくなった。

丸くて小さい石になった。