「もう授業は始まっていますが。こんな所で何を?」 敬語でそう言って、彼は笑う。 「あんたこそ、なんでここにいるの!?」 「だってお前、思いっきり叫んでたし」 「え…」 助けに…きてくれたの? 今になって初めて、落ち着いて彼を見た。 余裕ぶってるくせに、息は少し荒い。 走ってきたんだ…。 黒髪に黒い瞳に、女子を簡単に魅了してしまう容姿。 作ってない微笑み。 こいつ、ほんとは… 「ねえ、この紐ほどいてくれない?」 いい人… 「…やだね」 …なの!? .