連れてこられたのは、誰も使っていないような空き教室。
お嬢様がたは教室に入るとすぐに、あたしの手首と足首を紐で縛った。
ほんと、どうしよう。
いくら力を入れてもひもは解けないから無駄。
身動き一つ取れない。
「ちょっと、会長だかなんだか知らないけど!放してください」
あたしが必死に話しかけても、お嬢様方は完全に無視。
「あなた、蓮様にどう取り入ったのかしら?」
東堂蓮が何だっていうのよ!
「あっちが勝手にあたしのネクタイ奪っちゃったのよ!」
さっきの見てたら分かるはずなのに。
それとも東堂蓮の動きが素早すぎて、あたしのネクタイが奪われたことなんて
周りの人には分からなかったのかもしれない。
お嬢様方はくすくすと笑ったり、あたしをすごい形相で睨んだり。
「ちょっとかわいいからって調子に乗らないでいただきたいわ。桜井結衣!」
「はぁ!?なんであたし!?」
調子に乗ってんのはあたしじゃなくて、東堂蓮なのに!
「しかたがないですわね。」
え…?
いやな予感。
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