「あなた。桜井結衣さん、ですわよね?」 えーと。 何でしょうかこのギャラリー。 「あは…」 あたしの目の前には、五人のお嬢様とその執事たち。 あたしに話しかけたのは、この中でも特に派手なお嬢様。 彼女の胸元には、 『princeファンクラブ・会長』 のバッチが輝いている。 この状況は、すぐに把握できた。 「ちょっとよろしいかしら」 「あ、はい…」 引きつった笑顔で答えるあたし。 お嬢様方は、どうやら穏やかな気分ではないご様子。 とんでもない人に目を付けられてしまったみたい。 .