その日、山地は駅には行かずに俺達と帰った。
さすがに、橘を一人にはできないらしく田中に橘を駅まで送らせるように頼んだ。
「…幹也ったら…」
「ごめん…」
「あ!いやっ…」
海は少し笑って歩き出した。その後を申し訳ないように梨香が歩く。
駅が目の前に迫った頃だった。海は静かに口を開いた。
「やっぱり山地君が気になるの?」
「そ、そんなんじゃ!」
「……僕じゃダメかな」
「…えっ…」
梨香の足が止まる。
それに、少し離れた所で海も止まり、梨香に向き直った。
「僕が…こうして橘さんの側にいちゃダメかな……?」
「……」
海は梨香の目をしっかり見据えて言う。
「前から…ずっと前から……
好きだった。
付き合ってほしいんだ………」
「……………。私は………」
「……返事待ってるから……ここで、いいかな?」
「……うん…」
「またね」
海は梨香の返事を待たずにその場から走りさって行った。
梨香は暫くその場に立ち尽くしていた。
胸に響く心臓の音が静かになるまで、夕日に染まったままでいた。
さすがに、橘を一人にはできないらしく田中に橘を駅まで送らせるように頼んだ。
「…幹也ったら…」
「ごめん…」
「あ!いやっ…」
海は少し笑って歩き出した。その後を申し訳ないように梨香が歩く。
駅が目の前に迫った頃だった。海は静かに口を開いた。
「やっぱり山地君が気になるの?」
「そ、そんなんじゃ!」
「……僕じゃダメかな」
「…えっ…」
梨香の足が止まる。
それに、少し離れた所で海も止まり、梨香に向き直った。
「僕が…こうして橘さんの側にいちゃダメかな……?」
「……」
海は梨香の目をしっかり見据えて言う。
「前から…ずっと前から……
好きだった。
付き合ってほしいんだ………」
「……………。私は………」
「……返事待ってるから……ここで、いいかな?」
「……うん…」
「またね」
海は梨香の返事を待たずにその場から走りさって行った。
梨香は暫くその場に立ち尽くしていた。
胸に響く心臓の音が静かになるまで、夕日に染まったままでいた。

