「じゃあまた明日ねっ!!」


俺と山地は門の前で二人を見送ると、店へと戻った。

もう日は傾き、海の向こうに沈もうとしている。

部屋に着いた俺はベッドに身を投げ出して、窓からその景色を眺めた。

「三枝ー。いいかな」

山地だ。改まった感じがしていた。

「入れよ」

ガチャ。

山地は笑顔だったが、どこか引っ掛かる笑顔だった。

「どーした?」

山地は隣りに座った。

「今日さ…はぐれたろ?」

「あぁ」

「高円寺と何かあったかなって…その…心配したからさ…」

「ん?何もねーよ。お前まで長月みたいな事聞くのかよ」

「いやっ!何もないならいいんだ…」

「……で。何が言いたいんだよ」

「…まいったな。やっぱ三枝は鋭いな」

すると、山地は一呼吸置いてから静かに口を開いた。

「三枝はさ…高円寺の事どう思ってんのかな…って」


山地の顔は真剣そのものだった。

「どうも思ってない。お前みたいな特別な感情もないしな」

「そ、そうかっ…!!」

山地の顔は安堵の表情に変わった。

「頑張れよ」

「サンキュ!悪かったな!そろそろ飯だから下いこっ!」

「あぁ」



山地の気持ちは俺が良く知ってる。

山地のあそこまでの真剣な顔を見たのは初めてだった。

アイツはそれだけ高円寺に本気なのだ。



いずれにせよ最後は山地自身が気持ちを告げなければいけない。

山地みたいに…人をこんなに強く想える事は俺にはできない。


そんな山地は俺よりもずっと輝いて見えた。


今までよりもずっと…