ピンポーーン……

呼び鈴の前で、インターフォンからの声を待った。

『はい。どなたですか』

高円寺の声だった。

「あ。俺、三枝だけど…」

『えっ!?………』

「…高円寺ー…」

『あ!ごめん!入ってっ!!』

俺は門を開けて相変わらず綺麗に整った庭を通っていった。


ドアの開けると、高円寺が待っていた。

「よお」

「う、うん!どうしたのっ」

「あぁ。コレ」

俺は言葉少に紙袋を高円寺に渡した。

「わぁ!プリン!ありがとー!」

高円寺はプリンと俺をチラチラと交互に見ながら言った。

「真弓さんが作ったから旨いよ」

「うん!」

すると、奥から高円寺を呼ぶ声と共に長月が来た。

「なんだ。三枝か」

「なんだ、とは何だよ。お前の好きなプリンを持って来てやったと言うのに」

「えっ!プリンっ!?」

長月は高円寺の持っている紙袋を覗き込んだ。

「おいしそーっ!」

「不満なら俺が食っちまうぞ」

「誰がやるもんですか!冷蔵庫に直行だわっ」

そう言うと、長月は紙袋を持ってリビングに消えた。

「長月の奴、お礼ぐらい言えや。…じゃ、帰るわ」

「うん。またね!」

俺は高円寺に短くわかれを告げて店へ戻った。

何となく、高円寺が浮かない顔だったので少し心配した。