ここんとこは、お互い忙しくてほとんど会ってない。
メールはするけど。

直接会ったりは少なくなった。

「だって言ってたじゃん!璃雨に彼氏が出来たら、一緒にグループデートしようねーって。忘れちゃったの?」

雪葉は長いクロワッサンをくわえて、首を傾げる。

…いやいや。

璃雨そんな約束してないし。記憶ないし。

「でもさぁ、何か気乗りしないんだよね。」

璃雨は頼まれたら断れないタイプだから、いつもこうやって遠回しに拒絶する。
が。

「気乗りしないって上手く言ってないの?…最近会ってないって言ってたしね。なら、尚更だよ!グループデートに行って仲直りしないと!。」

……。
雪葉には璃雨の小さな拒絶も、効かない。

購買で買ったメロンパンに手を伸ばす。

「…紀琉とは上手くいってるよ。会ってないけど、毎日メールくれるし。」

そういって、手元のケータイを見つめる。

紀琉は結構マメだ。

繊細な見た目通り、気遣いがよく聞く。

メールでも相変わらずの敬語だけどもう慣れた。

紀琉はいつも、夜にメールをしてくる。

たまに電話。

その内容が結構優しい。