契約の恋愛

私は腕時計に目をやり、顔の前で両手を合わせた。

「ごめん亮也。」

いきなり謝りはじめた私を亮也は不思議そうに見つめている。

「…?何が?」

案の定の答えだ。

「今日用事できちゃってアイス屋行けなくなっちゃったんだよねぇ。」

うぅ……。

言葉にすると余計悲しくなってくる。

ちくしょうめ、契約。

「えぇーっ。さっきまで行く気満々だったじゃん。どうしたのっ?」

横から雪葉が入ってくる。
そりゃそうだよ。

行く気満々だったんだもん。

私はお手上げのポーズをして、わざとらしく大きなため息をついた。

「……実は今からK大行かなくちゃいけなくて。借りたもの返しに。」

あえて、恋人に会いにいくとは伝えなかった。

陸飛や亮也の前で知れたら何か面倒くさくなるような気がする。

雪葉に打ち明けるのにも勇気いったのに。

だが、願いも虚しく、私の話を聞いて急に雪葉の口角がニッと上がった。

何か冷やかしの目だ。

「……何、そのやらしい目。」

「いや~。K大ね。おっほっほっ。」

雪葉はわざとらしく体をくねくねしている。

…こいつ、気付きやがった。

亮也と陸飛は二人共、??という顔で二人共見事に同じ表情をしているので少し笑える。