「そっかー、お嬢はもう彼氏いんのかー」
「何よ、いちゃおかしい?」
「いやぁ、いてもおかしくないけどさぁ」
意外なことに砂野は彼女いないんだって。
高校まではいた経験はあるけど、
結局何だかんだで振られるんだって。
何か意外だった。
あんなに男女問わず周りに集まってくるのに
彼女がいないってのは、本当に意外。
「いい人で終わっちゃうんだよ、俺は。
しかも面白い人だねとは言われてもさ、
カッコイイとか思われたことねぇからさ」
「…確かに。バイクはカッコイイけどね」
「バイクはカッコイイだろぉ?あれ自慢なの」
私は、少し羨ましいけどな。
いい人にもなれない、面白くもなれない私。
こんなんだから歌手になれないって
親に言われて納得してしまうんだろうな。
砂野だったら出来るんだろうなって
そんな風に思ってしまうんだけどな。
そんなことを思ってるの知らない砂野は、
プールが楽しみって話ばかりしてる。
なんだか、弟みたいで笑える。
「お嬢は彼氏を何て呼んでんの?」
「はあ?」
「いいじゃーん、教えてよー」
砂野は私が話す話をニコニコ聞いてる。
その顔を見てると楽しくなっちゃって、
女の子の友達にも話さないような話を
ついついペロッと話してしまう。
