研修中に分かったことがあった。
砂野は、ムードメーカー。
とっても人を笑わせたりするのが上手。
砂野が何かやり出すと、
みんなが砂野を見てる。
別に砂野は意識してやってるっぽくないけど
自然と注目になってる、気がする。
「お嬢!もう俺、あのマネキン好きになりそう」
とか言いながら私のところに戻ってくる。
またそんなこと言うから、
みんながこっちを見て笑ってるし。
「胸の感触が忘れらんねぇよ…これ、恋?」
「…馬鹿じゃないの?」
「お嬢、ときめきは大事なんだよ?」
なんてやり取り。
みんなが見てる。
普段注目されることがない私だから、
その視線の多さはよく分かる。
砂野はその後もニコニコしながら、
適当なこと言っては周りを笑わせて、
バカばっかやりながら研修を終わらせて。
終わった時には、砂野周りに人だらけ。
いつの間にか色んな子と楽しそうに話してた。
私はそんな姿見て、羨ましくも思い、
そして、何だかほんわかした気持ちになった。
「お嬢!帰ろうぜ!」
研修が終わった私を見つけて、
砂野が人垣の中からキラキラな笑顔で
手を上げた。
