会場に入って一通り指導員の説明を受けて、
早速、応急処置の講座に入っていく。
人工呼吸とか、救急車を呼ぶタイミングとか、
そんなことを習って身につけないと
小さい子供達の命に関わることだから、
とっても大事な研修なんだって。
私はちょっとでも聞き漏らさないように
一生懸命メモを取ってる…んだけど…
「お嬢、字ちっせーよ。目悪くなるよ?」
「ねね!あの子、超かわいくね?」
横から砂野がうるさい。
もう、砂野君なんて言わない。
こいつは、砂野で十分。
「うっさい。静かにしてて」
「お嬢は真面目だ!えらい!」
「えらい!じゃなくて、あんたもやるの!」
「俺はさぁ、実践派だからさぁ、研修じゃねぇ」
なんて言って、私のメモ帳に落書きしてきたり
書いてる私の腕を摘んできたり、悪戯ばっか!
「お嬢、人工呼吸って知ってんの?」
「お嬢って言うなって言ってんでしょ」
はぁ…ちょっとでもキュンとした自分が、
情けなく思えてくるよ…
