「あ~鼓膜破れるかと思った」



ヘルメットを取りながら砂野君がため息。

でも私はごめんと言いたくても声も出ない。


あんなに怖いもんだとは思わなかった…。

普段いっぱいバイク走ってるのは見るけど、

自分が乗るとなると臨場感ありすぎて、

正直、ジェットコースターより怖い…。



「そんなに怖かった?」



砂野君の言葉に泣きながら頷く。

とっても怖かったと伝わるように力強く。

すると、砂野君はフッと笑って、



「はい!」



と、手を差し出してくれた。

ビックリしたけど、ちょっとキュンとしちゃった。

ぐいっと引っ張って立たせてもらう。



今まで悠以外の男の人と手を繋いだことも、

こんなに近くに顔を見たこともなかったから、

心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかって

思うくらいにドキドキした。



そんなことを思ってる私に、砂野君が一言。





「お前、力強すぎ。アバラ骨折するかと思った」





と、意地悪そうに笑った。