何度か聞き直しているうちに、心なしかカモメの鳴き声も聞こえている気がしてきた。


道に迷ってどこに行ったんだ！？

とりあえず、折り返し電話をしてみると、無事帰ってこれそうだとだけ言って、すぐ切られてしまった。



不意に、メールが送られてくる。


『
柳の木見た？
』


北野駅の柳の木はしだれ柳になっていて、駅の前の用水路の両端に並んでいた。

それより、明らかに海にいる西根さんの方が心配だった。


『
うん
夜中に通ったら怖そうだね

ところで今どこにいるの？
』