準備運動のランニングで、だらだらと何人かとまとまって走っている。

やる気のない呼び声にやる気なく答える。

「口切れてるよ~歯のとこ血がついてる」

優だった。

袖でこすっても血はつかない。
西根さんの血だ。


「アラッキ~」


どきっとした。
何故か優に後ろめたい。


「俺、これからアラッキーって呼ぼうかな」

「やめろよ…」


あれは事故。あれは事故だったんだ。


何かを振り払うように、俺は走り出した。