ぶつかったのは唇。


正確には転んだとはいえ俺の方が背が高いので、西根さんの上唇と俺の歯。


「うわ、ごめ!」


西根さんが口を押さえ、謝った。

俺にも衝撃は走った、痛かったのは西根さんだと思う。


「いや、俺の方こそごめん。血が出てる」

痛みからか、恥ずかしさかみるみる西根さんの頬は紅潮し、瞳がうるむ。


「いたいー」

「大丈夫?ごめんね」


それから、二人で謝りあった。


突然のキスは

痛くて、
少し酸っぱかった。

ていうか、酢イカの味がした。