「咲月....行こう。」



突然朋子が咲月の手を引っ張った。
強い力で引っ張られ、
咲月はよろめいた。



抵抗出来なかった。
しようと思えば出来た。



だけど、
あたしの素直な心は言っていたんだ。



玲ちゃんより朋子といたいから───



咲月と朋子はカバンを持ちあげた。



玲ちゃんの高笑いする声が聞こえ、
非常に不愉快な気持ちになったけど、
咲月たちは走り続けた。



校門をくぐり抜け、(防犯カメラが光っていた)馴染の商店街を走り抜け、(魚屋の高木さんは咲月たちにどうした、と話しかけた)お日様が照っている中、2人はひたすら走り続けた。



何とも複雑な道を通り、
朋子は咲月の手を引いて、
最寄駅に着いた。



しかし、朋子は掴む手を
離さなかった。



咲月は不安になりながらも、
ただ走っていた。



我を忘れるほど、
ひたすら走っていたかったからだ。



2人の行動を見ていたのは
太陽だけだったが、
その太陽もやがて雲に隠れ、



天候は不吉なほど悪くなり、
気味が悪い空の色に変わり始めた。


第9章:おわり