息を呑む音が微かに聞こえて、
咲月は怖くなり、ますます顔を伏せる。






「最低。

 最低だよ、朋子。」






全て言いたい。
思っていること、全て言ってしまおう───



咲月は目をギュッと瞑り、
口を開いたが....



「ごめん....」



朋子がごめんと言った。
咲月はなんて答えれば良いのか
わからなかった。



咲月はお人好しな人だった。
だから、謝られれば、
すぐに良いよ、と許してしまう子だった。



だけど、親友の裏切の行動を
そんなに容易く許せない....



謝って済む問題だったら、
逆におかしいよ。



親友だったから。
一度何かを願いかけたから....



だから、そんなにすぐに解決しては
いけなかった。