「こんにちは、伊藤です!」



「あ!咲月~待ってたよ!」



インターホン越しでそう言うと、
朋子の元気の良い声が迎えた。



「おそろのプリ帳....捨てたくせに───…」



咲月はこぶしを握り、ギュッと唇を噛んだ。



「咲月ー!
 遅いじゃん!」



朋子が玄関のドアを開けて、
スリッパのまま
ドタバタと慌ただしく咲月に駆け寄る。



「あはは、ごめんごめん。」



咲月は愛想笑いをした。



「雪降ってるじゃん?
 で、途中で滑っちゃって。」



「あーそっか。
 咲月、大丈夫?」



....あたしのことなんて心配してないんでしょ?
嘘でしょ?



だって。プリ帳捨てたじゃん。