だって、この手紙が咲月の元に
渡ったら、あの子、調子にのっちゃうもん。



───そんな子じゃないって分かってる。
でも、そう考えないと、泣きだしそうで。



私の名字は、井上。



だからきっと、中村君は、
私と咲月のロッカーを間違えたんだ。
それで、私の靴元にこの手紙を....



咲月なんて大嫌い。
その、美貌を私にも分けてよ。
性格の良さも、頭の良さも、
家柄の良さも、全て私にちょうだい───



中学2年生の冬、
窓の外に物凄く冷たい風が吹く。


第6章:おわり