僅かな気遣いで付けたマスク。
咲月は、こだわりで
いつも竹布マスクを使っている。



「朋子....」



口元にふんわりとしたマスクの感触。



それの所為か、顔を綻ばせながら
微笑む。



心からの微笑みだよ。



「あ、咲月....」



朋子がじりじり後退りをしながら、
咲月の名前を口にした。



「....あ、あの....」



言葉に出来ない、という風に
朋子が口をパクパクさせるから、
咲月はじれったくなり、
口を開いた。



「何の用?」



「え....あの....咲月が心配で....」



なわけないよね?
....朋子。



「あと、先生が、届けてあげてって
 言ったから、手紙持ってきた....」