みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

すると電話の向こうの彼は「何時になってもかまわんけん。とにかく待っとぉと」とだけ告げて電話を切らはった。



「さて、どないしよ……?」

受話器を置いてつぶやくウチ。

ミルクがどないなったかモチロン気になる。

せやけど、今朝はめっちゃハラが立って妹にあないなふうには言うたけど、逃げたミルクが見つかるはずあらへんことくらいは、ウチにも分かっとる。

見つからへんことが分かっとる以上、こないして電話の前に張り付いとる必要もあらへんわけや。

つまりホンマは今スグ、一葉が担ぎ込まれた西市民病院に行けるってことや。

ほんでも胸の中の割り切れへん思いが、ウチの行動に強制的にブレーキをかけてはる。


とにかく各務くんから電話をもろた以上、さすがに病院に行かなアカンのは分かっとるけんど、今スグ行ったところで状況がナンか変わるなんてことあらへん思うし、何よりそない簡単に死んだりしぃひんって、心のどこかでタカをくくっとるウチがおった。



小学6年のときからはじまって、その後、中学1年、2年と同じクラスやった一葉と、3年になってはじめて別々のクラスになった。