みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~


そうかて下駄箱の恋文を無視して以来、ずっと避け続けてきた各務くんと会うんも、ほんで絶交した一葉と会うんも正直イヤやった。

でけることなら、各務兄妹とは会いたなかった。

もちろん事情は分かってる。

一葉が死にそうやってのが、ウソとちゃうのも分かっとる。


ほんでも……、


ほんでも「今スグ行くさかい!」って即答でけへんウチがいた。


実際、今スグ駆けつけたとして、おそらく一葉はICU(集中治療室)で面会謝絶の状態でいてはるんやろうし、行ったところでどないなるもんでもない思う……悪いけど。

それにミルクがどうなったか、妹からの電話も気になっとるし。


だから彼に「できれば今スグ“西市民病院”に来てくれんとぉ?」と言われて、ウチはこう答えた…、

「申し訳ないけど……急にそないなこと言われても、ウチ、いまスゴク取り込んでるさかい、今スグ行くのはちーと難しいんや……」

…って。