みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

せやけど、もしこれで一葉が助からんやったとしたら、彼女の命を奪ったんは他ならぬ彼女の父親いうことにならへんでもない。

もちろん、まだ生死の境をさ迷ってはるだけで、死んでもうたわけちゃうけど……。


「今は意識不明の状態やけど、一時的に意識があったときもあって……それは海から救急車で病院まで運ばれてるあいだのこつやけど……そんとき、一葉がうわごとのように言ってたことがあるったい……」

「うわごとのように言ってたこと……?」



「美佳……ごめん……美佳……って」



「ごめん…!?」

「よっちゃんの夢でも見てんのか、しきりとキミに謝りよったんやけど、よっちゃん、なんか心当たりあるとぉ?」

「一葉がそないなこと……」

もしかして彼女は、中2んときの絵画コンクールでズルして最優秀賞をもろうたことを、ウチに詫びようとしてはるんかもしれへん。



とりあえず…、

なんで各務くんが突然、電話してきはったんか、その事情は全部飲み込めた。