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「本当なら一葉に直接謝らせるべきなのは分かっちょるけんど、それは無理だけんオレが代わりに謝るとぉ……」
そう言うと、並んで歩いとった各務くんが立ち止まって、ウチのほうをまっすぐに見た。
「今さら遅いのは分かっちょるけど、一つのけじめとしてちゃんと謝るばい……ゴメン……あんときは本当にすごか悪いことをした……って一葉も反省しちょったけん」
そして深々と頭を下げる彼。
「も、もうええよ、そのことは。もしウチが一葉の立場やったら、きっと同じことした思うし……せやから、もう怒ってへんさかい」
ウチは慌てて彼の頭を上げさせた。
「それにウチの絵を真似した描いたとはいえ、あの絵じたいを描き上げたんは一葉本人やさかい、一葉が描いた絵が最優秀賞に選ばれたいう事実に変わりはあらへん」
実際そのとおりや。
「でも、それはあくまでお手本となるよっちゃんの絵があったからこそだけん」
「じゃあ、いっそのこと、こーいうんはどぅやろうか……?」


